鉄・ラクトフェリンQ&A
2004.3.29

鉄-ラクトフェリンの抗炎症作用
−日本農芸化学会2004年度大会にて発表−

雪印乳業(株)技術研究所は、食品として摂取して消化作用を受けた後に従来のラクトフェリンではみられなくなる抗炎症作用が、鉄-ラクトフェリンには期待できることを明らかにしました。

 この研究成果について、3月29日より広島大学(東広島市)で開催される「日本農芸化学会2004年度大会」で発表いたします。
1)鉄-ラクトフェリンとは:
ラクトフェリンは1分子あたり2分子の鉄イオンをキレート結合する乳中の機能性タンパク質であることが知られていましたが、弊社の研究により通常の鉄イオンが溶解状態を保てない中性条件でも数十から数百分子の鉄イオンを溶解できることが見出されました。このような状態のものを鉄-ラクトフェリンといい、加熱処理に対して安定であるだけではなく、鉄特有の異風味や胃粘膜障害作用などのない食品用鉄素材として応用が期待されています。
2)抗炎症作用とは:
炎症は、有害な物質(細菌、花粉、ダストなど)が体内に侵入した際に様々な組織で起こる生体反応で、かゆみ、痛み、腫れなどを伴います。過剰な炎症反応は様々な苦痛をもたらすのみならず、正常な組織や細胞の破壊をもたらすといわれています。したがって、過剰な炎症を抑える抗炎症作用は、健康な体を維持する上で大変重要な機能です。抗炎症作用を測定する方法としては培養細胞を用いる方法と実験動物を用いる方法がありますが、今回はヒト単球由来のTHP-1培養細胞を用い、分泌される炎症性サイトカインの量を抗炎症作用の指標としました。すなわち、炎症性サイトカインの産生量が少ないほど炎症を抑える活性が強いといえます。
3)研究発表内容
鉄-ラクトフェリンの炎症性サイトカイン産生抑制作用
  雪印乳業(株)技術研究所  井上佳子、門岡幸男、筧 裕司、川上 浩

 内容の要約
●消化酵素であるペプシンとトリプシンをラクトフェリンおよび鉄-ラクトフェリンに作用させ、その分解プロファイルを比較したところ、鉄-ラクトフェリンからは特徴的な数種類のペプチドが生成されることを明らかにしました。
●ラクトフェリンおよび鉄-ラクトフェリンを食品から摂取した場合を想定して、消化酵素で分解した後に、抗炎症作用についてヒト培養細胞を用いて検討しました。その結果、鉄-ラクトフェリンは消化酵素による分解を受けても、炎症の発生している組織や細胞から分泌される炎症性サイトカイン(細胞間の情報伝達に関わるタンパク質)の産生量を抑制しました。一方、ラクトフェリンは消化酵素の分解により、抗炎症作用がみられなくなりました。
●以上のことから、食品からラクトフェリンを摂取する場合には、鉄-ラクトフェリンはラクトフェリンと比べて、消化管内でも抗炎症作用を維持できることが示唆されました。
以上

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